ワイやで

文体が安定しない

B☆Bのこと

北海道日本ハムファイターズの球団マスコット、BBの魅力に取りつかれたのは去年の6月頃のこと。それまで野球にはそれほど興味もなく、球団マスコットもタイガースの三匹とつば九郎ドアラくらいしか知らなかった。ふとしたきっかけでYouTubeのマスコットステージの動画を見るようになり、そのときにはじめてBBの存在を知った。BBはそれまでの私のマスコットの認識を変えるくらい常識破りなことを成し遂げていて、次々と新しいことに挑むその姿が私の目にはカッコよく映った。BBを知らない人に彼がどんなマスコットか説明すると、間違いなく驚かれる。アクロバットはもちろんスポーツ万能で、ピアノを弾いたり、コラムを書いたり、ほかにも色々。昔ディナーショーで歌ったこともあったとか。私自身も驚いたし、気付けばもうBBのとりこで、BBに会いたくて北海道行きの飛行機を予約した。本当はお金がなかったので札幌ドームに行くのは来年にしようと考えていたけど、大谷の見納めにもなるということでファンフェスティバルのチケットを取った。今思えばファンフェスに行くきっかけを作ってくれてありがとう、大谷。そのファンフェスティバルで、BBは実質の引退を発表した。

 

正確には引退ではない。グラウンドでの活動に一区切り付け、今後は地域貢献をメインに活動するという(解釈が間違っていたらごめんなさい)。球団マスコットが球場を離れたら、それは実質引退なのではないかと言う意味で「引退」という言葉を使ったが、私には実際にその二文字を突きつけられるのと同じくらいの衝撃があった。もちろん本当の引退でなくて安心しているし、逆に言えばBBは垣根なく地域に愛されているマスコットであるということであり、いちBBのファンとしては喜ばしいことである。

ファンの人にしてみれば、BBが近い将来引退することはわかっていたのかもしれない。自身のコラムで相方不要論なんてものを書いていたBBだから、ポリーちゃんやフレップ君が登場したときにはファンはきっとこの未来をうっすら想像していたんだろう、と思う。BBも今回の決定は67年前から考えてきたことだと述べているから、いつかはきっと来る未来が来るべくして来たんだろう。

ファンフェスの後、BBは久しぶりにコラムを更新した。今回のコラムにはすごく重要な事が書かれている。BBは特効薬という表現を使ってうまく説明してくれている。つまり今回BBは永遠の命よりもファンとの記憶の絆を優先したということである。そして「新マスコットが元気な姿で盛り上げ続けることができる」という言葉に、体力的にもグラウンドでの活動を続けるのが厳しくなってきたのだろうなという予想がとれるのがまた寂しい。確かにBBの衰えた姿は見たくないし、いつまでも元気なBBをずっと見ていたいけど、BBの言うとおり中の人(などいないけど!)が変わってしまったらそれは今までの記憶を持たないBBの姿をしたBBではない何かになってしまうわけで、そこでファンとの記憶や絆を優先したBBの決断は間違っていないと私は思う。マスコットの常識を覆してきたBB、それでこそBBだし、だからわたしはBBが好き。もちろんBBの新しい挑戦も応援するし、BBにはもっと有名になってほしいとも思う。なのにわたしはこの発表を聞いてからずっともやもやしていた。

 

まもなく冬が明け、また新しいシーズンが始まる。あの日からしばらく時間が経って、BBの発表に対して抱いていたもやもやの理由が少しわかった気がする。私はBB、ポリー、フレップのマスコットステージが、三匹が作り出す空気がとても好きだから、それが今後見られなくなってしまうのが寂しいのだと思う。もちろん全員が揃うことが全くなくなってしまうわけではないし、言ってみればBBがメインから退くだけで何か変わるということでもないのだと思うけど、本当に実質の「引退」なのだと改めて感じて、それがすごく寂しかった。それでも、マスコットの世代交代というプロ野球界初の試みを実践しようとする姿勢は、わたしの憧れるBBの姿そのもので本当に格好良い。そして、BBの北海道への地域貢献をしたいという思いは全力で応援したい。マスコットは単なる客寄せパンダではなく、チームとファンとの間を取り持つ役割を担っていると考え、これまで地道な努力をBBが続けてきたからこそ、あの会場のどよめきだったのだろうと思う。北海道の方たちが自信を持ってこれが北海道の顔だと送り出せるのはやはりBBしかいないだろう。これだけ地域のことを、北海道のことを真摯に考えて活動してきたマスコットが、これからようやく本格的に北海道の顔として活躍できるのだ。応援しないわけがない。私も北海道に気軽に行ける距離には住んでいないけれど、できるだけ気にかけていようと思う。今年もまたBBたちに会えるように私もがんばります。